コラム
前編では、1.原因の解明、2.原因の除去、3.適切な鞍かどうかの確認という3つのステップについてお話ししました。
まだお読みでない方は、こちらからどうぞ 『馬の良い背中とは(前編)』
後編では、残りの3ステップ、4.栄養管理、5.グラウンドエクササイズ、6.脳を鍛えるについて、ご説明します。
トップラインの筋肉を作るためには、適切なタンパク質とカロリーが必要です。しかし、タンパク質は食べるだけでは効果はなく、適切な運動と休養をバランスよく組み合わせることも大切になります。(ボディビルダーがソファーに座ってステーキを食べているだけでは、筋肉は大きくならないのと同じです)
多くの場合、トレーナーやオーナーは、馬が必要としている以上のタンパク質を与えています。ただ、そのタンパク質に含まれるアミノ酸バランスが偏り、必要なアミノ酸が欠如している場合があります。そういった場合、大豆飼料のような高品質のアミノ酸を含む飼料を毎日の餌に加えるだけで、トップラインの改善が見られることがあります。
しかし、自分だけで餌の内容を考えて改善するのは難しいかもしれません。一番簡単な改善方法は、市販の餌をパッケージの給餌方法通りに与えることです。市販の餌は、栄養管理のエキスパートが馬に必要な栄養素とバランスを分析して作っています。馬の運動レベル、年齢、性格、サイズ、ボディコンディション、繁殖、様々な問題などを考慮した餌を選び適切な量を与えましょう。
最後にもうひとつ、高く吊るされた餌入れでなく地面から餌を食べるようにしてみましょう。“草をはむポーズ”によっても体幹の筋肉が安定します。
背中を鍛えることは体幹を鍛えることです。鍛えるための近道はないとは言え、馬に乗らずとも地上で1日たったの5分でできる体幹トレーニングがあります。
もっとも簡単なエクササイズは、運動前のにんじんエクササイズです。四肢を均等に立たせて踏み変えさせずに、頭と頸のポジションを変えるように動かす動作を行います。にんじんを使って、頭を身体の左右・前肢の間に誘導します。
ゆっくりと鍛えることが重要です。馬の様子を見ながらまずは2秒から始め、何週間かかけてそれぞれのポジションで10秒ほど維持できるようにするのが目標です。
乗る前に(筋肉が疲れていない状態で)エクササイズを5回反復することでトレーニングの準備になります。この小さな積み重ねが良好なトップラインと体幹の強さへとつながります。
トップラインの強さには確認方法があります。帯道辺りの胸部の真ん中、胸骨直下を、人の指で背中方向にゆっくり持ちあげるように刺激してみてください。トップラインが良い馬は反応して頭を下げ背中が1cmほどもち上がり丸くなります。トップラインが弱い馬は苦しくて背中をより丸めて上へ上へと逃げてしまいます。
ただし、体を触られるのがあまり得意ではない馬もいますので、この確認方法を行う際は馬が嫌がらない範囲で実施するようにしましょう。
最後に、騎乗して行うエクササイズについてです。おすすめは坂の上り下りで、特に下りが効果的です。坂での運動は、身体の重心と姿勢を考えるため、脳を鍛えるのにもってこいです。ゆっくりと下る動きはより難しいため効果的です。ゆっくり行こうとするほど、安定させるために、より脳からのコントロールが必要となります。
また、Elastic Band Resistance Trainingというものもあります。騎乗中に腹部と臀部エリアに弾力性のバンドを装着するものです。バンドが当たる部分を意識しながら動くようになり、体幹筋肉ひいてはトップラインが活性化されます。
同様の考えから、テープを貼ってトレーニングを行うものも有効でしょう。
このようなエクササイズをコツコツと行えば、常に安定したトップラインへと変わっていくでしょう。
終わりに
トップラインは日々の心地よい運動や健やかな生活を反映します。私たちの力で変えられる数少ない矯正の一つであり、そして確実に馬のためになるでしょう。トップラインの変化を、ぜひ実際に感じてみてください。
参考Website:
The Horse "Horse Topline-Building Tips"
https://thehorse.com/170405/horse-topline-building-tips/
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