コラム
馬のトップラインとは、背中に沿って走る筋肉群のことで、以下の4つの部位に分けられます。
そして、良好なトップラインとは、
といった状態が挙げられます。
トップラインが悪い状態では、たとえ健康状態が良くても、跛行を示すことや、キコウから臀部まで背骨が尖って浮き出てしまい、キコウと肩の間の動きもスムーズではなくなることがあります。
これから説明する6つのステップを根気よく実行することで、馬たちのトップラインを少しずつ変えていくことができると考えます。
今回はまず前編として
1.原因の解明、2.原因の除去、3.適切な鞍かどうかの確認
という3つのステップをお話します。
もともと馬は、遺伝的に良いトップラインを持つようにできています。病気や栄養不良でない限りは、自然に頸から尾まで美しく滑らかなトップラインが発達します。さて、そもそもどのようにして悪化してしまったのでしょうか。フィットしていない鞍により背中や頸を痛めていませんか?体幹が安定せず、身体を背中と頸で無理に支えようとするために疼痛を引き起こしていませんか?
トップラインが悪くなる一番の原因は、「姿勢の悪さ」です。それまでの運動や飼育環境などさまざまなことが積み重なって、馬の姿勢は形成されていきます。姿勢が悪いと、トップラインが上手く使えずに衰えていきます。
もうひとつの原因としては跛行があげられます。跛行と頸/背中の問題は大きく関わっています。跛行などの原因を探るためには、獣医師に一度ご相談ください。その馬のトップラインの問題は体幹が原因なのか、それとも四肢など別の場所が原因なのかを明らかにしておきましょう。
また、怪我による馬房内休養の間でもトップラインは悪化します。スポーツホースにとって、多くの時間を馬房で過ごすことは、人間がベッドで寝たきりの場合と同じで、筋肉を失うことになってしまいます。
STEP1で挙がった原因が「姿勢の悪さ」である場合、その改善策として体幹トレーニングを行いますが、そのためには馬の“脳のリセット”が必要でしょう。すなわち、今まで使えていなかった体幹の筋肉を動かすためには、それらに指令を出す脳から変えていかなくてはならないのです。
原因が跛行などの他の部位の疼痛であり、二次的にトップラインが悪化している場合、まずはその原因を取り除かなくてはなりません。疼痛がありながら体幹トレーニングを行えば、それをさらに悪化させてしまいます。さらに、“脳のリセット”も不可能になってしまうかもしれません。
休養時の運動制限が原因であれば、必要に応じてより広い場所で放牧をしたり、曳き運動やウォーキングマシン等で運動量を補ったりするべきです。
フィットしていない鞍を使い続けることは、トップラインを壊してしまうかもしれません。そのような鞍を使用していると、馬は痛みを減らそうと常に姿勢をずらして調整し続けます。それが長く続くと慢性的な痛みに進行し、トップラインに沿って筋肉が減少します。たとえどんなに適切な運動負荷と良い餌を与えていても、鞍が合っていなければ良いトップラインは得られません。
馬は背中の形がトレーニングや年齢と共に変化するため、鞍やゼッケン等馬装の見直しが適宜必要です。トップラインが改善してくると、元の鞍では新しくできた筋肉を圧迫してしまうかもしれません。そのため、定期的に信頼できるフィッターや鞍の専門家に評価をしてもらいましょう。トップラインを作っている途中なら月に1回、通常でも半年に1回は評価するのがベストです。
次回後編では、残りの3ステップ、4.栄養管理、5.グラウンドエクササイズ、6.脳を鍛えるについて、ご説明します。
参考Website:
The Horse "Horse Topline-Building Tips"
https://thehorse.com/170405/horse-topline-building-tips/
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